裁判員制度が開始されました。労務管理上の留意点は何でしょうか?

■裁判員制度がスタート

裁判員制度が、平成21年5月21日から開始され、8月3日に第1号の裁判員裁判が開かれました。

裁判員裁判対象事件は起訴後、裁判官らによる公判前整理手続きが行われ、審理計画の日程が決まります。そして、裁判所が、裁判員候補者名簿に基づき、裁判員候補者への呼出状、質問票の送付を行い、裁判所で裁判員候補者の中から裁判員が選ばれることになります。


多くの世論調査では、裁判員制度に参加したくないと考えている方が過半数を超えています。企業としても、従業員に裁判員制度で会社を休まれては困るというのが本音ではないでしょうか。

しかし、「労働基準法」では、労働者が公民権の行使をするために必要な時間を請求した場合は、使用者は原則として拒否できない旨の規定があります。したがって、
会社は従業員に対して休暇を与える必要があります。

また、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」では、
会社は従業員が裁判員になるために仕事を休んだことを理由に不利益な扱いをすることを禁止しています。



■労務管理上の留意点

裁判員制度に対する労務管理上の留意点として、従業員が裁判員に選任された場合の会社内での取扱いが挙げられます。

この点、
裁判員休暇を有給とするか無給とするか、あるいは、就業規則での規定化などは企業に任されているため、どのような支援体制を設けるかは企業次第です。確率的に多くの社員が裁判員やその候補者になる可能性が大きい大企業では、CSRの一環として「裁判員休暇」制度を就業規則に盛り込むところが多いようです。

また、労働者の数も比較的少なく、「裁判員休暇」制度の新設までの必要性がないとする企業でも、既存の就業規則の見直しをすることが望ましいといえます。具体的には、
既存の特別休暇の規定の中に、休暇中の給与の取扱い、休暇の届出制度の創設、対象者の範囲などを補うことが考えられます。

ところで、実際の中小企業では1人1人の人財に代替が効かない場合が多く、裁判員休暇をとられては困るというのが実情という企業もあるかと思います。当然ながら、そのような理由での裁判員の拒否はできません。

したがって、
裁判員制度における労務管理上の留意点として第一に挙げられることは、裁判員休暇を取得できる職場環境の整備を図ることではないでしょうか。(これは有給休暇が消化できないという悩みと同じ構造の問題です。)

裁判員制度の開始を契機に、自社の職場環境の改善を行うのも一つの方法です。そんなことは無理と諦めず、一度、当事務所へご相談下さい。



■お問合せは

裁判員制度に関する質問については、最高裁判所のホームページにQ&A方式でまとまっています

また、職場環境の改善及び裁判員制度の就業規則上の対応については、当事務所へメールにてお気軽にご相談下さい。






〒170-0013 東京都豊島区東池袋1−48−10 25山京ビル3F
佐々木社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 佐々木 誠

Copyright(C)2008-2011 MAKOTO SASAKI. All Rights Reserved.
無断転載・転写・コピー等を禁じます。